フェアトレード・リソースセンター(Fair Trade Resource Center、略称 FTRC)は、日本のフェアトレードタウン・フェアトレード大学の実践を記録し、次に取り組む人が使える形にして公開するアーカイブです。一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)が運営しています。
実践の記録が、それぞれの手元にとどまっている
日本で最初のフェアトレードタウンが誕生したのは、2011年の熊本市でした。以来、各地のまちと大学が認定を受け、フェアトレードスクールとして登録する学校も広がっています。認定を目指して活動している地域も各地にあります。
その一つひとつの背後には、数年から十数年におよぶ市民・学生・お店・企業・行政・議会の積み重ねがあります。ところが外から見えるのは「認定された」という結果だけで、そこに至る過程は、担当者の記憶と手元の資料の中にとどまっています。だから、これから取り組もうとする地域や大学は、ほとんど毎回ゼロから始めることになります。
最初の一歩は何だったのか。議会の決議はどうやって通ったのか。予算はいくらで、どの部署のどの事業から出ているのか。取扱店はどうやって増やしたのか。学生が卒業しても活動が続く大学と、止まってしまう大学は何が違うのか。問いは驚くほど共通しているのに、答えは共有されていません。FTRCは、この空白を埋めるために作りました。
認定機関だからこそ、書けることがある
FTFJは、日本におけるフェアトレードタウンとフェアトレード大学の認定機関です。すべての申請を受け、現地調査を行い、認定と更新を議決してきました。あわせて、フェアトレードスクールの登録も行っています(スクールは、申請された内容が要件を満たしていれば登録される制度で、認定審査は行いません)。申請書や現地調査報告書には、各地で実際に何が起きたのかが詳しく記録されています。ただしこれらは、申請者との信頼関係のもとに提出された非公開の資料です。
FTRCは、その内容をそのまま公開するものではありません。審査を重ねるなかで得た「どこに注目すべきか」という視点をもとに、自治体・大学・議会が公開している資料に当たり直し、確認できたことだけを記事として書き起こしています。一つの地域を深く見るだけでは気づけない共通点や違いは、全件を横断して見てきた認定機関の立場だからこそ書けるものだと考えています。
認定のあとに、いちばん長い時間がある
認定は、3年ごとの更新審査を重ねながら続いていきます。そのあいだに担い手は入れ替わり、学生は卒業し、まちの状況も変わります。フェアトレードタウン・フェアトレード大学の面白さは、むしろその先にあります。憲章を定めたことで学内の調達がしやすくなった大学、認定をきっかけにフェアトレード専門店が生まれたまち、学生が代替わりしても活動が引き継がれる仕組みをつくった大学。続けるなかでこそ、工夫が積み重なっていきます。
同時に、取り組みの形が変わったり、いったん途切れたりすることもあります。FTRCでは、そうした経緯も確認できる範囲で書き残しています。うまくいったことだけを並べた事例集よりも、実際にどう続けてきたかがわかる記録のほうが、これから取り組む方にも、いま続けている方にも役に立つと考えるからです。
置いているもの
事例は、認定された1件ごとの記録です。認定順に並べ、認定日・推進組織・行政計画上の位置づけ・更新の履歴といった基本データを揃えたうえで、そのまちや大学に固有の経緯を書いています。
ナレッジは、複数の事例を横に並べたときに見えてくる実務です。取扱店の増やし方、認知度の測り方、予算のつくり方、憲章の作られ方、議会決議の通し方、活動を続ける仕組みといったテーマごとにまとめています。
リサーチは、フェアトレードに関する書籍・論文・調査報告の一覧です。日本語・英語の文献を、公開されている書誌情報をもとに整理しています。
資料は、各地の議会決議、首長の宣言、大学のフェアトレード憲章、学長の表明といった一次資料を集めたものです。原文が公開されているものは全文を収録し、すべてに出典と取得日を明記しています。
ニュースは、国内外のフェアトレードの動きを、日付と出典をつけて蓄積したものです。認定・登録の節目、市場や調査の数字、各国の制度の改定、価格・基準の改定、国際会議、自治体や大学の具体的な動きを、出来事が起きた日で並べ、国内と海外に分けて整理しています。
ひとつひとつの出来事は、報じられた時点では単発の話題に見えます。日付順に並べ、地域ごとに束ねると、そこに流れが現れます。ある国の制度改定がいつ他国の基準に及んだのか、国際的な議論のどのあたりに日本の動きが位置しているのか、数字はどの年から伸びたのか。こうしたことは、記事を一件ずつ読んでいるだけでは見えません。あとから経緯をたどれる形で残しておくことに、この蓄積の意味があります。
あわせて、普及啓発に使える資料も発信していきます。
読むときに知っておいていただきたいこと
記事には、どこから取った情報かがわかるように出典を添えています。資料については、出典のページと、その内容を確認した日付を必ず記載しています。公開情報で確認できなかったことは、推測で埋めずに空欄のままにしています。
また、記事の執筆者を明記し、その執筆者がFTFJの中でどのような立場にあり、当該の認定審査にどう関わったかを、記事の末尾で開示しています。認定する側が認定した相手について書く以上、その関係は読み手に見える形にしておくべきだと考えています。
記録づくりに、ご協力ください
FTRCは、書き足しながら育てていくアーカイブです。新しい認定が生まれれば事例が増え、更新審査のたびに書き加えることが出てきます。各地で公開されている資料も、これから調べて加えていきます。
各地で活動されている皆さまに、ぜひお力添えをいただけますと幸いです。自分のまちや大学の取り組みを記録に残したい、公開されているのにここに載っていない資料がある、記載に誤りがある。そうしたお知らせをお待ちしています。皆さまの手元にある記録が、次に挑む地域や大学の出発点になります。
運営とお問い合わせ
FTRCは、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)が運営しています。FTFJは、日本におけるフェアトレードタウンとフェアトレード大学の認定機関であり、フェアトレードスクールの登録を行っています。その活動は、会費とご寄付に支えられた非営利の事業です。
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