11フェアトレード大学

北星学園大学・北星学園大学短期大学部 — 憲章のひな型をつくり、20年目に顧問が代わった

基本データ

大学
北星学園大学・北星学園大学短期大学部
所在
北海道
学生数(認定時)
学部3,827人+短期大学部433人=4,260人(2019年5月1日現在/2019年度事業報告書)
学生数(現在)
学部3,781人+短期大学部7人(2026年5月1日現在)
認定日
2019年10月12日
更新認定
2022年11月29日
2025年12月17日
認定順
大学 3 件目
学生団体
北星フェアトレード
担当部署
社会連携課
計画への位置づけ
記載なし
憲章
本文

北星学園大学・北星学園大学短期大学部は2019年10月12日、札幌学院大学と同時にフェアトレード大学に認定された。北海道初、国内2番目である。

この事例が制度に残したのは、憲章のひな型である。

2019年の現地調査で、認定委員会はこう書いた。

調査に当たった認定委員としては、①内容的に(「私たちは・・・」という言葉の使用など)、②プロセス的に(学生が原案を書き、顧問とやり取りをしつつ「学生最終草案」を作成)、③三者協働性において(フェアトレード普及学生団体、学生自治委員会および大学当局の3者によってフェアトレード大学憲章が策定・署名されている)、この北星学園大学の憲章は一つのひな型(モデル)をなすものと評価できると思われる。

同じ年、日本のフェアトレード大学認定は、憲章について3つの型を並べることになった。静岡文化芸術大学は学長ひとりの署名で認定され、付帯意見を受けた。札幌学院大学は3者が署名したが、公開版には載せなかった。北星学園大学は3者が署名し、署名入りのPDFを大学サイトに掲げた。

そしてこの記事は、もうひとつの記録でもある。2005年から20年間、この大学のフェアトレードを担ってきた顧問教員が、2025年度に交代した。理由は「学内の規定により就任ができなくなったこと」である。

札幌学院大学の審査で認定委員会が挙げた懸念——「担当教員が転職などで不在となると、活動の継続性が突然大きく削がれる恐れがありうる」——が、隣の大学で現実になった。

背景

始まりは、バングラデシュの刺繍だった。

FTFJの大学ページに掲載された年表は、こう始まる。

2005年12月 バングラデシュの伝統刺繍ノクシカタの展示販売会開催。これをきっかけに北星フェアトレード誕生。

顧問となった萱野智篤教授は、1991年から1996年まで、国連開発計画(UNDP)ダッカ事務所のプログラムオフィサー、次いで日本赤十字社バングラデシュ駐在代表を務めていた。2019年の現地調査で、前経済学部長はこう語っている。

萱野教授はかつてダッカに駐在し、バングラデシュのNGOやフェアトレードとのネットワークをもっており、萱野教授のフェアトレード論はフィールド感覚が色濃く入り込んだ、実践的なものだった

2008年、それが正式な科目になった。当時の経済学科長がカリキュラム化に尽力したと記録されている。

この大学のフェアトレードは、20年をかけて4つの層を積み上げてきた。

層 開始 内容
1 2005年 学生団体「北星フェアトレード」の活動
2 2008年 経済学部の科目「フェアトレード実習/フェアトレード」(通年4単位)
3 2012年 大学生協でのワゴン販売(学生が仕入れ・値決め・展示を担う)
4 2019年 憲章の策定と、フェアトレード大学認定

時系列は次のとおりである。

時期 できごと
2005年12月 ノクシカタ展示販売会をきっかけに「北星フェアトレード」誕生
2006年5月 フェアトレードフェスタ2006 in さっぽろに出店(以降、現在まで毎年)
2008年度 経済学部の科目「フェアトレード実習」開講(通年4単位)
2011年 授業の夏休み課題として、札幌市内のフェアトレード産品常置店の訪問調査を開始(2013年、2015年、2017年からは毎年)
2012年5〜7月 大学生協でフェアトレード産品のワゴン販売開始(以降、現在まで継続)
2018年12月 大学の公認団体への申請。タイ・チェンマイ県の生産者を訪問
2019年1月 北星フェアトレードが憲章の第1次学生原案を起草
2019年3月6日 大学評議会で憲章を採択・承認(名称に「・北星学園大学短期大学部」を追補)
2019年3月11日 学長・学生自治会自治委員長・北星フェアトレード代表の3者が署名
2019年3月19日 憲章と学長のコミットメント表明を大学HPに掲載
2019年4月24日 FTFJが認定委員会へ審査を付託
2019年6月1日 札幌市がフェアトレードタウンに認定(日本で5番目)
2019年6月11日 現地調査(長坂寿久・小林尚朗 両委員)
2019年7月19日 認定委員会が理事会へ審査報告
2019年10月12日 認定(札幌学院大学と2校同時/さっぽろテレビ塔2階で共催の認定式)
2020年3月 北星フェアトレードが北星学園賞を受賞
2022年11月2日 北星フェアトレードが大学の公認団体に(申請から3年11か月)
2022年11月29日 1回目の更新認定
2023年5月 札幌学院大学と「第1回あつべつフェアトレードまつり」開催
2025年度 顧問が萱野教授から片岡徹教授に交代
2025年11月7日 札幌市国際部との協働で、市内中学校への出前講座を初実施
2025年12月17日 2回目の更新認定(大学公表 2026年2月2日)

札幌市のタウン認定(2019年6月1日)が、2大学の認定(10月12日)の4か月前にある。そして、そのタウン認定を可能にしたデータの出所が、この大学の授業である(後述)。

※ 出典: 北星学園大学「大学フェアトレード憲章」 https://www.hokusei.ac.jp/activity/fair_trade/ /日本フェアトレード・フォーラム「北星学園大学・北星学園大学短期大学部」 https://fairtrade-forum-japan.org/fairtradeuniversity/details/hokusei

主体

この大学のフェアトレードは、小さな学生団体と、ひとつの科目と、ひとりの教員で支えられてきた。

北星フェアトレードの会員数は、20年間で増えていない。

2019年(認定時) 2022年(更新1) 2025年(更新2)
会員数 7名 7名(4年3・3年1・2年0・1年3) 5名
規約 — — 発足以来、定めていない
定例会合 — 毎週1回、昼休み 設定していない(SNSのチャットとクラウドで運用)
部室 — — あり(ただし打合せはラーニングコモンズを使うことが多い)

2022年の審査報告書は、この規模の危うさを具体的に書いている。

構成は4年生3名、3年生1名、2年生0名、1年生3名で、代表・副代表を4年生が務めている点が注目される。つまり4年生が就職活動などで不在(引退)となると実質3年生一人となってしまうからである。

そしてコロナ禍の影響が、数字で記録されている。

ちなみに、北星学園大学の公認サークル数は、この2〜3年に及ぶコロナ禍の中で30〜40%が閉鎖されているという。コロナ禍におけるサークル活動の継承性がいかに困難であるかを物語っている。

2025年、認定委員会は「組織の脆弱性は否めない」と書いたうえで、こう評価している。

普及学生団体は、構成メンバーが少数であることなど組織の脆弱性は否めないが、外部の協力を得ながら活動を継続している。また、限られたメンバーの中で無理なく、効率的に活動を進める工夫もされているほか、現代表を中心に、新たな取り組みである市内中学校への出前講座も開始するなど、積極的に活動を広げていこうとする姿勢もある。

「無理なく、効率的に」の中身も記録されている。役割分担を定めず「対応できる人が自主的に手を挙げる形」。連絡はSNSのチャット、文書とタスクはクラウドサービス。5人で回すための設計である。

そして、団体を支えてきたのは、団体の外にある。イベントの運営は「経済学部のフェアトレード講座の受講生を中心に学内の学生の応援を得て」行われている。2024年12月のあつべつフェアトレードまつりでは、その応援がきっかけで2名が団体に加入している。

5人の団体が、履修者56名の科目に支えられている。これがこの大学の構造である。

取り組み

基準1 学生団体の大学公認と顧問教員 — 3年11か月の「申請中」

認定時(2019年)、北星フェアトレードは公認団体ではなかった。

基準1の指標は「大学から公認されている、ないし公認の申請を行っている」である。北星フェアトレードは2018年12月に申請し、「学内公認団体新規申請証明書」(2019年3月6日付・学生生活支援課長発行)を提出した。これで基準1は満たされた。

大学の公認制度は、こうである。

公認申請した団体は、学内規定では、毎月定期的に活動報告を提出させるなど、その活動を1年間見守った上で、その活動状況によって公認の可否を決定しているとのこと。

2019年、大学側は楽観していた。

「北星フェアトレードの場合は、すでに学内で長年の活動経歴をもっており、イベントの開催、学内外で活動をしていることなど、学内でも知られているため、公認化は問題ないであろう」(地域連携課長)、「2018年12月の申請のため、今年12月には間違いなく公認が決定するであろう」(学生生活支援課長)

公認が決定したのは、2022年11月2日である。申請から3年11か月、予想から3年近く遅れた。

2022年の審査報告書は、理由をコロナ禍に帰している。

この3年間に渡り依然「申請中」であり続けたことについては、基本的にはコロナ禍によるものと言っていいであろう。公認サークルになるには、1年間以上の活動実績と継承性の審査が主たる条件となっている。その後のコロナ禍による大学への登校自粛・禁止やオンライン授業などにより、サークル活動は厳しく自粛対象となり、会員確保も制約され、申請中ではあるものの公認への正式審査は実質的に延長されてきたのである。

つまり、この大学は初回認定と1回目の更新を、学生団体が「申請中」の状態で通過している。

基準1の指標が「ないし公認の申請を行っている」を認めていることが、この3年11か月を吸収した。札幌学院大学では、逆に「申請を受け付ける制度がない」ことが問題になった。同じ年に認定された2校で、同じ指標が正反対の形で問題になっている。

顧問の交代 — 20年目に起きたこと

2025年の現地調査報告書に、1行だけ書かれている。

顧問はこれまで、萱野智篤教授が発足以来務めてこられたが、学内の規定により就任ができなくなったことから、今年度から片岡徹教授に交代した。

萱野教授は退職していない。2026年8月時点で経済学部教授として在籍し、科目「フェアトレード」を担当し、フェアトレード北海道の代表理事、フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議の会長を務めている。交代したのは、大学のサークル顧問の職だけである。

それでも、これは記録に値する。2005年の設立から20年間、団体・科目・札幌市の推進組織のすべてを1人が担ってきた。その1つが、本人の意思とは別の理由で外れた。

後任の片岡徹教授は国際教育センター長であり、大学の新しい国際戦略プロジェクトのリーダーでもある。2025年の調査は「国際教育の面からもフェアトレードを進めていきたい」という意向を記録している。属人的な資産が、大学の組織的な機能に接続されつつあるとも読める。

判定:3回とも適合。

基準2 普及活動・研究教育活動 — 授業が、札幌市の認定を可能にした

この大学の基準2には、他のどの認定大学にもない事実がある。

科目「フェアトレード」の夏休み課題実習が、札幌市のフェアトレードタウン認定の基準5を満たすデータを作った。

2019年の現地調査報告書は、規模を記録している。

基準5のフェアトレードの店舗調査(約300店)を行った。ゼミ生が札幌市内のショップを訪問、フェアトレード商品の取扱状況を調査し、写真を撮ってきて報告させるという実習である。今回の札幌市のフェアトレードタウン認定に必須の基準5のデータとなった。約70名の学生が関わったという。

2022年の審査報告書は、その位置づけを明確に書いている。

この毎年の学生たちの夏休み課題(訪問調査)は、札幌市がフェアトレードタウンに認定された際および以降、審査基準「基準5」(人口1万人あたり1店舗以上のFT販売店があること)をクリアするデータとして提供されていると共に、市民向けのFT地図制作などの重要な基礎資料となっている。

顧問教員自身が、学術論文でその経緯を書いている。

2017年の調査の際には、このペースでいけば札幌のフェアトレードタウン認定店舗数基準197に届くかもしれないと学生たちの調査にも力が入り新規個人店舗の確認数も増えたが、10月段階では、196にとどまり、惜しくもあと1ポイント足りなかった。しかし、この年末、市民有志がまだ見つかっていなかった個人店舗での取り扱いを確認し、2017年末に札幌市はフェアトレードタウン認定基準の第5基準まで満たすことになった。 (萱野智篤「『深化を伴う拡大』を求めて」『現代法学』46号、2024年)

人口197万人の札幌市に必要な店舗数は197。学生の調査が196まで押し上げ、残り1店を市民が見つけた。

認定タウンの基準5を、大学の授業が支えている事例は、ここだけである。

科目「フェアトレード」

内容
開講 2008年度(当初の名称は「フェアトレード実習」)
位置づけ 経済学部・通年4単位(年間30回)・2年次以上
出自 2007年の経済学部カリキュラム改革で、海外実習を含むプロジェクト実習科目群の一つとして開設
必修の課外実習 ①6月 フェアトレードフェスタ in さっぽろへの参加 ②夏休み 市内・道内のフェアトレード産品常置店の調査 ③11〜12月 あつべつフェアトレードまつりへのスタッフ参加
成績評価 講義・演習への参加および課題60% / 課外実習への取り組み40%(参加は単位取得の必須要件)

2020年まで、「フェアトレード」を冠した公式カリキュラム科目は、日本でこの大学だけだった(2022年の審査報告書)。2020年度に静岡文化芸術大学の「フェアトレード論」が2番目として開講している。

履修者数の推移が、この大学の脆さと強さの両方を示している。

年度 履修者数
2020年度 76名
2021年度 54名
2022年度 59名
2024年度 5名
2025年度 56名

2024年度の5名は、他の年の10分の1である。2025年度に56名へ戻っている。理由は、一次資料にも公開情報にも書かれていない。

この科目の履修者が、学生団体のイベント運営を支え、店舗調査を担い、そして団体の新規会員になる。5名の年が続けば、その循環が止まる。

学外への展開

高校・中学への出前授業が、この大学の特徴である。

時期 内容
2019年11月 札幌あいの里高等支援学校で出前授業
2021年6月 北海道静内高等学校とリモートで2回のコラボ授業。優勝グループのプレゼンをフェスタのYouTube Liveで紹介
2021年後半 静内高校で高校3年生4名のFTチームが結成され、6か月でオリジナル商品を開発。北星フェアトレードが市内ショップとともに助言
2021年12月 静内高校のFTチームとともに、JICA主催の北海道国際協力フェスタに参加
2022年6月 札幌清田高校で出前授業
2025年11月7日 札幌市国際部との協働で、市内中学校(平岡中学校)への出前講座を初実施

2025年の出前講座は、成立の経緯が記録に値する。

札幌市では、市民と市長との対話事業(広聴事業)として、『市長と語ろう!サッポロスマイルトーク』を年3回開催し(中略)2024年11月に、「まちづくり活動」をテーマに、まちづくり活動の経験がある大学生10人を対象に開催された回に、普及学生団体の代表が参加し、市長とフェアトレードについて話をすることができたことがきっかけで、市内の中学校への出前講座を札幌市国際部と普及学生団体との協働で実現することにつながった。

講座の形は、1コマ50分のうち札幌市国際部と学生団体が20分ずつプレゼンし、残りを質疑に充てる。学生のプレゼンは、出席する学生自身が構成と内容を考える。

市の広聴事業の1回の対話が、1年後に自治体との協働事業になっている。

判定:3回とも適合。

基準3 大学当局によるフェアトレード産品の購入・利用

この基準の実績は、金額で記録されている。認定8件のうち、調達額が金額で記録されているのは、この大学と新潟国際情報大学の2校である。

年度 調達額 内容
2019年度 7,236円 入試監督室・非常勤講師控室のフェアトレード紅茶
2020・2021年度 0円 コロナ禍のため調達なし
2022年度 88,200円 来賓向けノベルティ(学生開発の竹製ボールペン・栞 10セット/9,000円)+寄付者向け返礼品(大学ロゴ入りFTコットンバッグ 100名分/79,200円)
2025年度 返礼品の予算内で調達 バングラデシュ製の手ぬぐい「ガムチャ」25枚

2022年の審査報告書は、この変化をこう書いた。

22年度に入り、FT調達は教職員向けの特定飲料の提供のみではなく、むしろ本来的な調達が始まっているように感じられる。

2025年の返礼品の選定過程が、この大学らしさを示している。

選定に当たっては、大学当局財務課から北星フェアトレードに相談があり、大学職員と学生が意見交換して決まった。返礼品としては、北星学園大学がフェアトレード大学であることを対外的にアピールできるもの、北星学園大学らしいもの、寄付額(2万円以上)に見合うものなどの条件があり(中略)最終的にガムチャとなった。

日本手ぬぐいとは大きさが違うため、調達先のNPO法人と相談して独自の小冊子《ガムチャの楽しみ方》を添付している。発注は、そのNPOのパートナーである北星フェアトレードを介した形をとった。

そして、実績が確認されている。令和7年度はこれまで30件(2万円以上)の寄付があり、そのうち20件がガムチャを選択した。

大学の事務が学生団体に相談し、学生団体が調達ルートになっている。基準3をこの形で満たしている大学は他にない。

一方、後退も記録されている。非常勤講師控室のフェアトレードコーヒーは、飲み物の提供自体がコロナ禍で中止され、そのままになっている。

判定:3回とも適合。

基準4 学内での2品目以上の販売・提供 — 学生が売り場を経営している

大学生協のワゴンは、学生団体が経営している。

生協側からフェアトレードの販売のために、「ワゴン」を1台提供してもらい、そのワゴン上での販売について、仕入れ・値決め・展示・商品補充等の販売管理は、北星フェアトレード側が行っている。

フェアトレードの販売品目の決定は、この点で生協主導ではなく、北星フェアトレード主導であり、北星フェアトレードが責任をもつことになっている。生協側は販売額の10%をもらう形となっている。

生協の側は、これを教育として位置づけている。

生協としては、学生たちに仕入れ方、値決めの仕方、ディスプレイの仕方、会計処理の仕方を指導している形としての役割をしており、学生にとっては大変勉強にもなっていると思われる。

2019年の生協マネージャーの発言が、この関係の実務水準を示している。

学生たちには、販売運営をするからには、例えば、週1〜2回は商品の動きを見に来ること、生協に来た時はその都度生協の担当者に声をかけ、販売状況(売れ筋等)などの情報を聞くと共に、アドバイスを受けること、そして商品補充などのメインテナンスを頻繁に行うことなどは、通常のこととしてやってほしいと思っている

6年後、その水準には届いていない。

普及学生団体の学生が販売運営をする上では、定期的に商品の動きを把握する必要があると考えられるが、普及学生団体の活動がコロナ禍の時期に低調になったことなどが影響し、現在もそのレベルまでの関わりはできていない。(2025年)

2025年の調査は、売上の精算が年1回にとどまっていることも記録している。

取扱品目の推移

2019年 2022年 2025年
生協売店(生協仕入) FT紅茶(FI認証) FT紅茶 紅茶は取扱停止/児童労働に配慮したカカオを使ったチョコレート菓子(製造元の工場が厚別区)
ワゴン(学生団体運営) 8品目。シャプラニール、Thai Tribal Craft、クマエ(バナナペーパー)、Jatra、Ekmattra 継続 ポーチ、クリスマスカード等の手工芸品
喫茶「NORTH STAR CAFE Sarah」 FT紅茶 FT紅茶 中止
生協食堂 未実施 中央(生協本社)管理の強化で困難 同左

2025年、認定委員会はチョコレート菓子の扱いに踏み込んだ判断をしている。

学生の購買力の低下などにより、手工芸品の売り上げは思うように上がらない状況に対して、FIラベル認証産品、WFTO加盟団体の産品ではないが、地元に由来するチョコレート菓子の商品を知らせていきたいという工夫がされていることも評価したい。

「フェアトレード認証産品ではないが、児童労働に配慮した地元企業の商品」を、認定委員会が肯定的に記録している。これは基準4の運用として、記録に値する。→ 執筆キット §9

判定:3回とも適合。

基準5 憲章の策定と三者の賛同 — ひな型になった理由

プロセスが、1週間単位で記録されている。

日付 できごと
2019年1月 北星フェアトレードのメンバー全員で話し合い、代表が中心になって「第1次学生原案」を起草。(卒業した当時4年生も参加)。顧問とメールで3〜4往復
1月31日 北星フェアトレード代表と学生自治委員会長が顧問研究室で打合せ。冒頭に「北星学園大学らしさ」を付け加えることに
2月12日 3人で2回目の打合せ。「第2次学生原案」を検討
(その後) 顧問の修正版をもとに最終原案を作成。学生2名の指摘を受けて修正し「最終学生原案」として学長・副学長に送付
2月26日 学長室で、学長・副学長・北星フェアトレード代表・学生自治会長・顧問・事務局長が「最終学生原案」を検討
3月6日 大学評議会(大学側の最高意思決定機関)で審議・承認。名称に「・北星学園大学短期大学部」を追補
3月11日 学長・学生自治会自治委員長・北星フェアトレード代表の3者が署名
3月19日 憲章と学長のコミットメント表明を大学HPに掲載

2月26日の学長室での検討について、報告書はこう記録している。

特に異論はなく、学長・副学長もこの草案を受け取った時、良くできた案だと認識したとのこと。部局連絡会でも文言をチェックしたが、大学の理念に沿っていることを強調しているのが評価されたようだ。そのため、文言の検討ではなく、直ちに、次回3月6日の評議会にかけようということになったという。

静岡文化芸術大学では、大学運営会議で「貧しい人を救うというのは上から目線ではないか」といった議論が交わされ、学生と再検討が重ねられた。北星学園大学では、学生原案がほぼそのまま通っている。

理由は、憲章の冒頭にある。

北星学園大学・北星学園大学短期大学部は「人間性・社会性・国際性」の理念を掲げ、豊かな人間性と社会性を育み、国内及び国際社会において平和の実現に貢献できる人材の育成を掲げている。

学生は、大学の理念から書き始めた。1月31日の打合せで「冒頭に『北星学園大学らしさ』を付け加える」と決めたのは、学生自身である。

学生が最も伝えたかった点も記録されている。

学生たち側として、とくに伝えたいと思った点は、フェアトレード活動は自分たちのためにやっているということ、当事者意識をもつことが大切であることを起草精神として目指したという。その視点は最後まで生きていると感じている。

憲章の本文には、その一節がある。

フェアトレード活動を行うことは「誰かのため」であると同時に、「自分たちのため」でもある。

学生自治委員会という「準ずる組織」

基準5が求める学生自治会について、北星学園大学の実態は次のとおりである。

北星学園大学の学生自治委員会は、学生からの意見を吸い上げ、それを学校当局につなげ、実現させていくことを目的とする学生団体だが、ポジションはサークル(部活)の一つの扱いである。入りたい人が参加する。現在の部員は8名。学生自治委員会は一時なくなったが、2〜3年前から復活した。

署名した「学生自治会自治委員長」は、部員8名のサークルの代表である。

札幌学院大学では、全学の自治組織がなく経営学部の自治会が署名した。北星学園大学では、全学の組織はあるがサークル扱いで、しかも数年前に復活したばかりだった。

基準5の「学生自治会(ないし学友会などそれに準ずる組織)」という文言が、実務ではこれだけの幅を持つ。→ 執筆キット §9-11

三者会議

憲章の署名者3者による会議は、認定後3年近く開かれなかった。

更新申請書の記述を、2022年の審査報告書が引いている。

2019年10月から2022年6月までは、新型コロナウイルスによる学生の活動制限もあり、三者間での話し合いを行うことはできず、学生団体、大学がそれぞれの方針に基づき、活動を展開した。

2022年7月15日と27日の2回、三者会議が開かれ、更新申請書の「第2部」(次の3年間の目標)が議論・合意された。出席者は学長、副学長、顧問、北星フェアトレード代表、学生自治委員会メンバー代表、社会連携課長である。

報告書は「今後、コロナ禍後においては、この三者会議については、新たな常設的・定期開催する仕組みとして構築していくつもりである」と記録している。

2025年の調査報告書に、三者会議に関する記述はない。

大学の姿勢

2025年、認定委員会が基準5の根拠としたのは、次の3点である。

  • フェアトレードフェスタ in さっぽろへの広告協賛 6万円(大学からの支出)
  • 憲章の大学HP掲載、経済学部パンフレットへの掲載
  • 地域配布の広報誌「HOKUSEI@COM」でのフェアトレード特集

判定:3回とも適合。

所在自治体・札幌市のフェアトレードタウン運動への関与

この大学の関与は、認定タウンの基準を直接支えている点で、他に例がない。

関与の形 内容 対応するタウン基準
基準5のベースデータの提供 科目「フェアトレード」の夏休み課題実習による店舗訪問調査。2011年、2013年、2015年、2017年からは毎年。2019年時点で約300店・約70名 基準5(決定的)
推進組織の会長 フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議の会長は、2024年度まで本学の顧問だった萱野智篤教授 基準1
市民向けFTマップの制作 2018年・2020年・2022年に札幌市国際部が発行したパンフレット内の「さっぽろフェアトレードマップ」は、この調査が基礎資料 基準2・5
パンフレットの全面改訂への参画 2026年、4年ぶりの改訂。中面デザインを札幌学院大学・市立札幌清田高校の生徒と共同で考案・採用 基準2
あつべつフェアトレードまつりの主催 2023年5月・2024年12月・2025年11月。札幌学院大学との2大学共催 基準2・4
フェアトレードフェスタ in さっぽろ 2006年から現在まで毎年出店。大学が広告協賛6万円を支出 基準2
市の広聴事業を起点とした協働 2024年11月の「市長と語ろう!サッポロスマイルトーク」→ 2025年11月、札幌市国際部との協働で中学校への出前講座 基準6
大学間連携プラットフォーム 2025年度から札幌市内の大学間連携の枠組みを立ち上げ、北星学園大学がその中心を担う。フェアトレードを含む国際性を中心に据える意向 —

札幌市の事例記事で記録したとおり、推進組織「フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議」の会員は、正会員47名+サポート7名(2022年)から6団体17名(2025年)へ縮小している。2024年の総会は開かれなかった。

その時期に、2大学主催の「あつべつフェアトレードまつり」が3年続き、市の出前講座が始まり、市のパンフレットが4年ぶりに全面改訂された。

FTFJの認定委員会は、2025年の札幌市の更新審査でこれを「新しいフェアトレードタウンとフェアトレード大学との新しいフュージョンの可能性」と評価した。

実態としては、可能性ではなく、すでに移行が始まっている。

※ 出典: 北星学園大学「大学フェアトレード憲章」 https://www.hokusei.ac.jp/activity/fair_trade/ /萱野智篤「『深化を伴う拡大』を求めて」『現代法学』46号 https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/11970/1/genhou46-07.pdf /札幌市「フェアトレードの推進」 https://www.city.sapporo.jp/kokusai/cooperation/fairtrade.html

成果

指標 認定時(2019年) 更新1(2022年) 更新2(2025年)
学生数 学部3,827人+短大部433人 — 学部3,781人+短大部7人(2026年5月1日)
学生団体の会員数 7名 7名 5名
学生団体の公認 申請中(2018年12月申請) 申請中 → 2022年11月2日 公認 公認団体
顧問教員 萱野智篤 教授 同左 片岡徹 教授(2025年度〜交代)
科目「フェアトレード」履修者 — 2020年度76/2021年度54/2022年度59 2024年度5/2025年度56
大学当局の調達額 7,236円(2019年度) 88,200円(2022年度)※2020・21年度は0円 返礼品予算内(ガムチャ25枚)
生協の販売箇所 3か所(売店・ワゴン・カフェ) 3か所 2か所(カフェは中止)
三者会議 — 2019年10月〜2022年6月は開催できず。2022年7月に2回開催 記述なし
憲章の署名者 3者(署名入りPDFを公開) 変更なし 変更なし
法人の計画への位置づけ 記載なし 記載なし 記載なし

法人の計画には、20年間書かれていない

学校法人北星学園の公開文書を全文検索した結果は、次のとおりである(2026年8月28日確認)。

文書 「フェアトレード」の出現数
学校法人北星学園 中長期計画〜グランドデザイン2020-2040〜 0
2026年度 事業計画書(全56頁) 0
2024年度 事業報告書(全98頁) 0
2019年度 事業報告書(認定年度) 0
2022年度 大学基準協会による大学評価(認証評価)結果 0
2022年度 北星学園大学 自己点検・評価報告書 0
短期大学部 自己点検・評価報告書 0

同じ北海道の札幌学院大学は、2021年度の認証評価で「基準9 社会連携・社会貢献」の長所としてフェアトレードが明記され、大学基準協会の事例集にも収録されている。静岡文化芸術大学は中期計画に明記され、KPIまで置かれている。

北星学園大学は、20年の実績と、日本で唯一だった科目と、認定タウンの基準を支えるデータを持ちながら、法人の計画文書に1行も書かれていない。

この落差は、2022年の審査報告書がすでに指摘していた。

「フェアトレード大学」としてしっかりした活動を進めているが故に、「フェアトレード大学」の理念を大学の教学理念として本格的に取り込み、新たな大学展開へとステップアップしていくために、さらなる展開の可能性があるのではないかということを、インタビューした大学当局者の全員が強く指摘していたことも、とくに印象に残った。

そして2025年、その入口が見えている。

2027年度から全学的にカリキュラムを改定し、一般教養の共通科目を新たに作ることを検討しており、「人間性・社会性・国際性」という建学の精神を踏まえた北星学園大学ならではのものとしたいと考えている。平和学やフェアトレード、国際人権などを核にしながら進めていきたい。

2026年4月には国際学部にグローバル・イノベーション学科が新設される。

2027年度のカリキュラム改定が、この落差を埋めるかどうかが、次の3年間の焦点である。

なお、位置づけがまったくないわけではない。大学サイトの「本学の取り組み」には、大学公開講座・高大連携プログラム・地域連携・六大学包括連携協定と並んで「大学フェアトレード憲章」が常設メニューとして置かれている。そして2020年3月、北星フェアトレードは北星学園賞を受賞している。受賞対象は「本学の『建学の精神』に照らし(中略)他の模範となる顕著な功績を挙げ、本学の名誉を高めたと認められる者」である。

学園は、建学の精神に照らしてこの活動を顕彰した。だが、計画文書には書かなかった。

認知度

学内のフェアトレード認知度を測った調査は、公開情報でも一次資料でも確認できませんでした。

2025年の調査報告書に、生協担当者の所感として次の記述がある。

フェアトレードに対する学生の認識は高いと感じているので、関連する書籍の販売とワゴンやそれ以外の産品などを連携するなどの工夫を図っていきたい。

所感であり、調査に基づくものではない。

※ 出典: 学校法人北星学園 中長期計画 https://houjin.hokusei.ac.jp/about/grand-design/ /同 事業計画書・事業報告書 https://houjin.hokusei.ac.jp/about/finance/ /北星学園大学に対する大学評価(認証評価)結果 https://www.juaa.or.jp/media/files/_u/evaluation/file/20230403_105174.pdf /北星学園大学 学生情報 https://www.hokusei.ac.jp/about/student/ ※ すべて公開資料。PDFを全文テキスト化して機械検索した(2026年8月28日)。

課題

当事者が語った課題のみを記す。

1. 学生団体の規模(2019年・2022年・2025年)

会員は7名 → 7名 → 5名。20年間、増えていない。2022年は「4年生が引退すると実質3年生1人になる」構成だった。2025年、認定委員会は「組織の脆弱性は否めない」と明記した。

規約は発足以来定めておらず、定例会合も設定していない。

2. 生協ワゴンの運営が、求められた水準に届いていない(2025年)

普及学生団体の活動がコロナ禍の時期に低調になったことなどが影響し、現在もそのレベルまでの関わりはできていない。

売上の精算は年1回にとどまり、「普及学生団体のメンバー自身も売店を利用することが少なく(中略)活動は低調」と記録されている。

3. 生協の取扱品目が減った(2025年)

フェアトレード紅茶は「経営が厳しいことや学生の購買力が落ちていること」から取扱停止。喫茶室での紅茶提供も中止。数年前にコーヒー全量をフェアトレードに転換する提案をしたが、生協の取引先の中では扱いが難しく断念している。

学生食堂への採用は、生協本社の一括管理の強化により進んでいない。これは静岡文化芸術大学・札幌学院大学と共通する。

4. 非常勤講師控室のコーヒー提供が止まったまま(2025年)

コロナ禍で飲み物の提供自体を中止し、そのままになっている。再開の検討意向が示されている。

5. 学内へのアピール(2025年)

他方で学内へのアピールについては、改善の余地があるものと感じられるが、それに対する課題意識はあり、改善が期待できる。

2022年には、別の形で同じ指摘があった。

学内外向けにフェアトレード大学である旨を掲示したモニュメントや、何らかの掲示物(プレート/プラーク/垂れ幕/碑など)は見当たらなかった。

6. 大学の教学理念への取り込み(2022年・当事者全員の指摘)

2022年の審査報告書が「インタビューした大学当局者の全員が強く指摘していた」と記録した点である。(前掲。)

【FTFJ編集部による解説】他地域への示唆

1. 憲章は、学生が「大学の理念」から書き始めると通る。

北星学園大学の憲章は、学生が原案を書き、学長室での検討で「特に異論はなく」、文言の検討を経ずに評議会にかけられた。静岡文化芸術大学では、大学運営会議で理念をめぐる議論が交わされ、学長室で学生と再検討が重ねられている。

違いは、書き出しにある。

北星学園大学の憲章は「北星学園大学・北星学園大学短期大学部は『人間性・社会性・国際性』の理念を掲げ」から始まる。そしてこれは、大学が付け加えさせたものではない。1月31日の学生同士の打合せで、「冒頭に『北星学園大学らしさ』を付け加える」と決めたのは学生である。

報告書は、この効果を記録している。「部局連絡会でも文言をチェックしたが、大学の理念に沿っていることを強調しているのが評価されたようだ。」

これから憲章をつくる大学への含意は具体的である。フェアトレードの理念から書き始めない。自分の大学の建学の精神・理念から書き始め、その延長にフェアトレードを置く。そのほうが早く、そして強く通る。

ただし、注意もいる。理念に接続することは、理念に吸収されることでもある。北星学園大学の憲章は建学の精神に沿っていると評価されたが、法人の中長期計画にも事業計画にも認証評価にも、20年間フェアトレードは1行も書かれていない。理念への接続と、計画への実装は、別のことである。

2. 大学の授業が、認定タウンの基準を成立させることがある。

札幌市がフェアトレードタウンに認定されるために必要だった店舗数は197。2017年10月、学生の訪問調査は196まで届き、あと1店足りなかった。その年末、市民有志が最後の1店を見つけ、基準5が満たされた。

調査の主体は、経済学部の通年4単位の科目である。2011年、2013年、2015年、そして2017年からは毎年、夏休みの課題実習として学生が市内の店舗を訪ね、聴き取りをする。2019年の時点で約300店、約70名の学生が関わっていた。

この仕組みが強いのは、3つの理由からである。

  • 科目である。単位がかかっている。課外実習への参加は単位取得の必須要件である
  • 毎年繰り返される。学生が入れ替わっても、科目は続く
  • 成果が外に出る。札幌市の公式パンフレットの「さっぽろフェアトレードマップ」になる

店舗調査は、認定タウンの推進組織にとって最も手間のかかる作業である。名古屋市では「都市の規模が大きすぎて調査が困難」という状態が続き、浜松市では市が消費者団体に委託している。札幌は、それを教育プログラムとして解いた。

タウンと大学が同じ都市にある地域は、この形を検討する価値がある。

3. そして、その仕組みは1人の教員に載っている。

2025年度、この科目を20年担ってきた教員が、学生団体の顧問を降りた。理由は「学内の規定により就任ができなくなった」ことである。退職ではない。科目は今も本人が担当し、フェアトレード北海道の代表理事も、フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議の会長も続けている。

それでも、この1行は重い。

札幌学院大学の2019年の審査で、認定委員会はゼミナールを普及学生団体と認めない理由の3つ目にこう書いた。「担当教員が転職などで不在となると、むしろ活動の継続性が突然大きく削がれる恐れがありうる。」

隣の大学で、それが起きた。理由は転職でも退職でもなく、学内規定だった。属人的な資産は、本人が辞めなくても失われうる。

同じ年、科目の履修者数が5名まで落ちている(2024年度。2025年度は56名に回復)。理由は資料にない。だが、5名の年が続けば、店舗調査は成立しない。

後任の顧問は国際教育センター長であり、大学の国際戦略プロジェクトのリーダーでもある。属人的な資産が、大学の組織的な機能に接続される可能性はある。2027年度の全学カリキュラム改定で、フェアトレードが一般教養の共通科目に入るかどうかが、その分かれ目になる。

これから認定を目指す大学へ。科目化は最も強い継続の仕組みである。ただし「誰かの科目」である限り、それは1人分の強さしかない。

4. 【FTFJ自身への指摘】基準1の「公認の申請を行っている」は、いつまで有効なのか。

北星学園大学の学生団体は、2018年12月に公認を申請し、2022年11月2日に公認された。3年11か月かかっている。

その間に、この大学はフェアトレード大学に認定され(2019年10月)、1回目の更新も通過している(2022年11月29日。公認決定の27日後)。

基準1の指標は「大学から公認されている、ないし公認の申請を行っている」である。期限の定めはない。コロナ禍という事情があり、認定委員会の判断は妥当だった。

だが、記録として残しておく必要がある。「申請中」という状態が4年続いても基準1は満たされる、という前例ができている。

同じ年に認定された札幌学院大学では、逆の問題が起きた。そもそも「申請を受け付ける」制度がなく、書面で証明できなかった。大学が公認を4か月早めることで解決している。

同じ指標が、隣り合う2大学で正反対の形で問題になった。

基準1の指標に、次の2点の但し書きを置くことを提案する。

  • 公認申請の制度がない大学における取り扱い(札幌学院大学の論点)
  • 「申請中」の状態で更新を迎える場合の取り扱い(北星学園大学の論点)

執筆キット v6 §9-13 に追記する。

5. 【FTFJ自身への指摘】短期大学部の募集停止と、認定単位。

北星学園大学短期大学部は、2025年度から学生募集を停止した。2026年5月1日現在の在籍者は7名である。

この認定は「北星学園大学・北星学園大学短期大学部」を1件として行われている。次回更新期限は2028年10月11日で、その時点で短期大学部の在籍者はゼロになっている見込みである。

認定単位をどう扱うかを、更新審査の前に決めておく必要がある。認定対象の名称を変更するのか、そのまま維持するのか。認定8件のうち、複数の設置校を1件として認定しているのはここだけであり、前例がない。

執筆キット v6 §9 に「9-14 認定対象の名称変更・組織改編の取り扱い」として追記する。

※ 文責: 内山大志 ※ 執筆者はFTFJ代表理事であり、2025年12月17日の2度目の更新認定を行った理事会の構成員である。上記4・5は、その立場を明示したうえで、FTFJ自身の記録として記載している(原則8)。


出典

  1. 北星学園大学「大学フェアトレード憲章」 https://www.hokusei.ac.jp/activity/fair_trade/ (取得日 2026-08-28)
  2. 北星学園大学 フェアトレード憲章(PDF) https://www.hokusei.ac.jp/hgu/wp-content/uploads/2019/03/abb9c3ceb8f5a4a27299419932fc155c.pdf (取得日 2026-08-28)
  3. 北星学園大学「本学の『フェアトレード大学』認定が更新されました」(2026年2月2日) https://www.hokusei.ac.jp/news/245659/ (取得日 2026-08-28)
  4. 北星学園大学「本学の『フェアトレード大学』認定が更新されました」(2023年1月19日) https://www.hokusei.ac.jp/news/151633/ (取得日 2026-08-28)
  5. 北星学園大学「「フェアトレード大学」に本学が認定されることが決まりました!」(2019年9月6日) https://www.hokusei.ac.jp/news/38185/ (取得日 2026-08-28)
  6. 北星学園大学「北星フェアトレード」(サークル紹介) https://www.hokusei.ac.jp/campuslife/circle/circle364/ (取得日 2026-08-28)
  7. 北星学園大学 学生情報 https://www.hokusei.ac.jp/about/student/ (取得日 2026-08-28)
  8. 北星学園大学 シラバス検索(科目「フェアトレード」) https://pota.hokusei.ac.jp/campusweb/slbssrch.do (取得日 2026-08-28)
  9. 萱野智篤「『深化を伴う拡大』を求めて — 北星学園大学経済学部『フェアトレード実習/フェアトレード』の実践と学びから」『現代法学』46号、47-69頁(2024年2月14日) https://repository.tku.ac.jp/dspace/bitstream/11150/11970/1/genhou46-07.pdf (取得日 2026-08-28)
  10. 学校法人北星学園 中長期計画〜グランドデザイン2020-2040〜 https://houjin.hokusei.ac.jp/about/grand-design/ (取得日 2026-08-28)
  11. 学校法人北星学園 事業計画書・事業報告書 https://houjin.hokusei.ac.jp/about/finance/ (取得日 2026-08-28)
  12. 北星学園大学に対する大学評価(認証評価)結果(2022年度) https://www.juaa.or.jp/media/files/_u/evaluation/file/20230403_105174.pdf (取得日 2026-08-28)
  13. 日本フェアトレード・フォーラム「北星学園大学・北星学園大学短期大学部」 https://fairtrade-forum-japan.org/fairtradeuniversity/details/hokusei (取得日 2026-08-28)
  14. 日本フェアトレード・フォーラム「北星学園大学・北星学園大学短期大学部をフェアトレード大学として2度目の更新認定」 https://fairtrade-forum-japan.org/archives/4632 (取得日 2026-08-28)
  15. 日本フェアトレード・フォーラム「6番目のフェアトレードタウン、2番目のフェアトレード大学2校が誕生!」 https://fairtrade-forum-japan.org/archives/342 (取得日 2026-08-28)
  16. 日本フェアトレード・フォーラム「北海道札幌市」 https://fairtrade-forum-japan.org/townactivity/details/sapporo (取得日 2026-08-28)
  17. 札幌市「フェアトレードの推進」 https://www.city.sapporo.jp/kokusai/cooperation/fairtrade.html (取得日 2026-08-28)
  18. フェアトレード北海道「北星学園大学・北星学園短期大学部と札幌学院大学が2校同時にフェアトレード大学認定」 http://fairtrade-hokkaido.org/?p=290 (取得日 2026-08-28)
  19. 北星学園大学「第3回あつべつフェアトレードまつり 活動報告」(2026年2月2日) https://www.hokusei.ac.jp/news/245729/ (取得日 2026-08-28)
  20. 北星学園大学「本学の学生が改訂に参加したさっぽろフェアトレードパンフレットが完成」(2026年6月4日) https://www.hokusei.ac.jp/news/256297/ (取得日 2026-08-28)

報道

  • 北海道新聞 2018年11月26日(北星フェアトレードの活動)
  • 北海道新聞 2019年6月10日(学生インタビュー)
  • 北海道新聞 2019年9月4日(フェアトレード大学認定決定/許諾番号 D1909-2003-00021541)
  • 広報さっぽろ 2020年2月号(萱野教授インタビュー)
  • 毎日新聞 2024年12月4日(第2回あつべつフェアトレードまつり)
  • 北海道新聞 2026年7月(フェアトレード北海道代表理事のコメント/許諾番号 D2606-2612-00031500)

※ 北海道新聞の記事本文は、有料・アーカイブのため直接確認できませんでした。大学サイトに掲載された記事画像と許諾番号による確認です。